私が学生時代に京都でしていたアルバイトのはなし
京都でアルバイトをせよ!すれば、京都が見えてくる
私が京都の学生になったのは、高校時代に修学旅行で訪れた京都が忘れられず、絶対に京都に住むと決めていたからです。
願いが叶い、京都でアルバイトを始めたわけですが、これがもし大学と家の往復だったら、生活環境を通して京都を見ることはなかったと思います。せっかく好きで来た町のことをもっと知りたくて「京都に関係するバイト」を選ぶことにしました。
いくつかそのときの体験談を載せてみます。
魚の粕漬け屋さん
切り身を粕に漬けたものを全国の百貨店で販売している会社でした。魚の切り身を粕床で寝かせたもので、粕の風味がとっても美味。
粕漬けの鮭や鰆などを弱火で焼くと、風味が良くて「こんなに美味しいものが?」とハタチのぶんざいで酒に合う肴の存在に気づいて感動していました。粕漬けが大好きだと社長に言ったら、商品としては出せない粕漬けの端切れをお鍋いっぱいにいただいたことがあります。
もし、下宿している学生さんが見ていたら、食品会社でバイトするのお勧めですよ。ときどきこうして食べ物をいただくと、節約にもなりますから。切り身でも、カマの部分ってめっちゃくちゃ美味しいんですよね。魚のアラとして貰ったものなんですけど・・・
粕漬けは京都以外にもありますが、上品な味わいで、海のない地方の田舎の味で育った私には大変みやびなものと感じました。
そして、その会社のもうひとつの売り上げの柱は、「ちりめん山椒」でした。ちりめん山椒はご存知ですよね。ちりめんじゃこに山椒が入っている乾き気味の佃煮というか、お惣菜のようなものです。
だいたい、こういう雰囲気のもの。
ところで、みなさん、ちりめん山椒に入っている薄緑色の山椒の実ですが、どういう風に実がなっているかご存知ですか?
枝にびっしりとついているんですよね。
これを、パートのおばちゃんたちと私で、一つ一つ枝からはずしていくのです。もしかしたら、大きい企業だと機械を使って一瞬でできるのかも知れませんが、私のアルバイト先は、女性たちの手作業が頼りでした。
ひとつひとつ枝から高速ではずしていく方が、機械を導入すより安かったのかも知れません。パートのおばちゃんたちのものすごい手さばきで、見る間に枝から山椒の実がはずされ、コロンと丸裸になっていく様子は圧巻でした。
一方、私はのろまでうまくはずすことができず、1秒1個がやっとでした。出来高制ではありませんでしたから、おばちゃんたちに大変申し訳なかったです。おばちゃんたちは安い賃金で扶養内に収まるように働いてますからね。
この仕事は座ってできるので、時給の割りに疲れない、オイシイ仕事でした。しかし、ひとつだけ難点がありました。爪先が真っ黒になるのです。これは石鹸をつかってごしごししてもなかなか落ちません。ネイルはしてませんでしたけど、授業中に爪先から漂う、ぴりりと辛いニオイにも参ってしまいました。
これを昔話のつもりで、うちの義母さんに話すと「あんたも苦労して・・・」と泣かれました。いや、そんなたいそうな。つか、今の方が苦労してますて・・・(´∀`;)
修学旅行生メインの旅館アルバイト
京都には修学旅行生を主なお客さんとして受け入れている旅館がたくさんあります。そのひとつでアルバイトをしていました。
布団引き、部屋の掃除、外出の引率、食事の配膳、食器の洗浄、すき焼き鍋の片付けなど、かなりの重労働でしたが、アルバイトは、ほぼ学生ばかりだったので気楽で楽しかったです。
修学旅行生は全国各地からやってきます。
夕食は、すき焼きを提供するのですが、関西風なので、わりしたを使わず、肉の上に砂糖をどどーんとかけて焼いていくやり方です。ですので、地方によっては、砂糖をほとんど使わないエリアがあるらしく、
「ああ、そんなに入れないで~(泣)」という趣旨のことをその地方の言葉で言われましたが、我々は容赦なく砂糖を投入するのでした。すると、野菜からグツグツと美味しいうまみが出てうまいぐあいに仕上がりました。
その後、修学旅行生が残した鍋を厨房に集め、我々学生アルバイトはその残りを炊いて、まかない代わりにいただくのですが、中から煮えあがったタクアンが出てくることもありました(#゚Д゚)コラッ
そんなこんなでも、楽しい旅館バイトだったのですが、ややこしいことがひとつだけありました。布団引きをしているときリーダー格っぽい女子に聞かれることがあるんです。
「おねえさん、北はどっち?」
これは、北枕になるのが嫌だから聞いてくるわけですが、部屋の形状によってはいろいろな方向に布団を敷かなければなりません。そんなときは
「こっち!」
と真南を指すこともありました。リーダー女子に敷きなおしを命じられたり、その列の布団に寝たくないとか、気弱な子を北向きに寝せろとか言っていじめや暴動が起きたら、たまったもんじゃありませんから。
その後、その旅館バイトは社会人になってもしばらくこっそりと続けました。シーズンになると、会社の出勤前に旅館に行き、退社後も旅館に行って働き、社員寮の門限までにそしらぬ顔で帰りました。おかげで1シーズンで50万ほど貯め、無事、社員寮を出ることができましたw
京都は人口の一割が学生なんですってよ。もし、これを読んでいるのが学生さんなら、今しかできない仕事がたくさんあるので、一回生のうちに美味しいところを探して4年目の就活のときも、シフトに融通を聞かせてもらえるようになるのが理想的ですね。
京都駅付近のアルバイトなら、飲食店もホテルも多いので、短期アルバイトもよく募集しています。今は引く手あまたの売り手市場。いきなりブラックバイトに引っかからないように短期アルバイトで様子を見てから長期にするのもいいかも知れません。