寺町二条上ルの謎のカフェ「S」
謎のカフェSさんの入り口↑
私が京都の通りでとても好きなのは、画廊や珍しいお店やカフェの集まる二条から丸太町(東西の通り)の間の寺町通(南北の通り)です。ピンとこない人には「一保堂茶舗」本店のある通りだよ、というと分かってもらえるかも知れませんね。
1つ1つ好きなお店を紹介したいのですが、今日は、この通りにある、とても不思議なカフェを。ただし、一年前の写真ですので、今は違った感じになっているかも知れないことをおことわりしておきます。
と言っても、あまり大々的に広めてほしくなさそうなカフェなので、あえて、名前は出さず「S」としておきましょう。由来がそこかどうかは分かりませんが、夏目漱石の作品名と同じです。このSさんは、寺町通に面した東側に出入り口があります。寺町から西に通りの伸びている丸屋通の付近を目指してもらえばたどりつけると思います。
京都によくある、せまい入り口と路地(ろーじ)の奥に建物のあるカフェです。路地が暗くて長いので、はじめての人は入るのに勇気がいります。しかし、好奇心旺盛な人の探求心をくすぐるのに十分でしょう、この店の名前と雰囲気からして。
そして、これは何のためか分からないのですが、路地の途中で明かりがぴかっと光るのです。めちゃくちゃ怖いです。カメラのフラッシュを焚かれたた感じがするんです。
しかし、たどりつくと、そこは引き戸の、昭和初期の香りのする木造のお家。
いったいどんな方がお住まいになっているのか気になります。
じつは、私、このお店に三回来て、三回目ではじめて入ることができたのです。二回目までは誰も店にいらっしゃらなくて、路地を引き返しました。そして、そのたびに路地のあかりがプシュと音をたてて光るのでした。
それでもどうしても入ってみたい。
2015年の夏に友人と一緒に行ってみて、はじめて入ることができたのですが、そこにいらしたのは、とても人柄のよさそうな笑顔のご主人。失礼ながら雰囲気を例えると、ダンディなおじさま風でもあり、庶民的でもあり。とにかく話しやすい感じの方でした。
・・・にしてもあの路地のフラッシュはなんなんだろう。威嚇?
いい人そうなご主人には聞けませんでしたw
入り口のところに置かれた大きなPCでお仕事をされていました。このカフェは「お部屋の一間を散策の途中、ちょっと一服するのにつかってね♪」というところでしょうか。カフェは決してお商売メインの目的でされているわけではないようです。
スリッパを出していただき、奥のお部屋へ。
そこにはアンティークや珍しい陶器などの置かれたテーブルがありました。
販売されているのかどうかはちょっと分かりません。
もっと薄暗い感じで、雰囲気があるのですがそれでは分かりにくいので少し写真のトーンを明るくしてあります。タイムスリップしたようなお部屋には、大きなガラスのテーブルがあり、中央の大きな花瓶に好きな花ベッチーズブルーが飾られていました。
京都のうなぎの寝床とよばれる、奥行きの長い建物の奥には小さな坪庭があることが多いです。私はこの京都の坪庭が大好きなのです。だいたい店の奥の坪庭近いところに座ることが多いです。
いつか、ステキな坪庭特集をしたいくらい。ここの坪庭も素敵です。写真を撮り忘れたのですが、足元には猫ちゃんの置物もあったと思います。
メニューコーヒーか紅茶のみ。ご主人がお湯を注ぎながらゆっくり淹れてくださる美味しいコーヒーをいただき、居心地のいい空間で一緒に行った友人と一時間ほど思い出話をして過ごしました。
観光客も多くなった寺町二条の華やかな通りから一歩入るとこんな不思議な空間があるんですね。
寺町二条には、本当にすてきなお店がいっぱいです。
老舗では、さきほどの一保堂さんはじめ、紙司柿本さん、村上開新堂さん、進々堂さん、二条若狭屋さん、アンティークの丁子屋さん、ADORNさんなど、ぜひ、オトナのあなたに歩いていただきたい通りです。行願寺や下御霊神社なども雰囲気があります。
そして、ぜひ、ちょっとだけ寺町の東側を気にしていただいて、カフェSさんを発見してみてください(笑)