京都にちじょう365 ときどき観光気分

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大学の卒業式に出られなかった。

今週のお題「卒業」

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一般的に入社式というのは4月1日付で行われると思いますが、私の就職先は、大学の卒業式と重なり、3月18日でした。

入社したのは、古くから京都の伝統産業を営む会社でした。日本海側の町の出身の子が多く、会社は、高校を卒業した子を「預かって育てる」という意識が高いように思いました。金の卵の時代をそのまま現代に持ち込んだような。

入社式は、わざわざホテルの宴会場を予約して、豪華な食事を用意し、親にも出席してもらうというものでした。田舎の子を預けるのに、親御さん安心してください、という意味があったのかも知れません。

就職活動のときに大人の事情を感じたのは、企業によっては、「自宅から通える者」ということを採用条件にしている会社もあったことです。つまり、私のような下宿性は最初からお呼びでないのが本音だったと思います。どこの馬の骨かもわからない、親元を離れて暮らしている九州の田舎出のねーちゃんを採用してくれたのは、この会社だったからだと思います。

私の卒業した大学は、あの時代ならCanCamやViViなどのファッション雑誌にお洒落な同級生が載っているような学校でしたから、同級生の中には、卒業式で袴姿になったあと、謝恩会でどんなドレスを着て行くかを本気で心配しているような人たちもいました。

就活をしていた同級生は、エアライン系とか、ホテルとか、金融とか、私が全然興味のない分野をメインに動いていて、私の就職先が決まって喜んでいると、「えーっ、まだまだチャンスはあるから、もっと受けたらいいのに」などと、失礼なことを言い放つのでした。

みんなが華やかな姿で卒業式に出ているときに、私は就活で使ったリクルートスーツを着て入社式に出席しました。あの時は一日でも早く仕事を覚えて、「キャリアウーマンになりたい」とまっすぐに思っていたんです。思う…ふりをしていたかも。しなきゃやってられなかったんですね、たぶん。

綺麗な着物も袴も、髪飾りも、編み上げのブーツもなく、友達もそれぞれの生活がはじまり、後日、ひとり寂しく、大学の守衛さんにお願いしてレンガの講堂の前で写真を撮ってもらいました。

写真が現像されると、学生の顔ではなく、すでに会社員の顔をしていて、ほんの少し前のことなのに、本当に私はこの学校に通っていたのだろうか?、という気持ちになったのを覚えています。その時々の節目に写真を撮ることの大切さはこういうことなのだな、と感じました。

 

追記:会社の同期で、大卒で入社した子は全員、実はこの日が大学の卒業式だったと、お互いに話していて分かりました。でも、同期の中で、人事部に交渉して、ちゃっかり大学の卒業式と謝恩会に出席してから、入社式後の研修に参加した子がいたことも分かりました。だからと言って、彼女の、その後の出世に響くわけでもなかったです。

これからお世話になる方の組織に合わせるのが当然、と思っていましたから、驚いたのと同時に、本音を言うと、彼女のこの世渡り上手なところがちょっとうらやましくもありました。翌年から、この会社の入社式は4月1日になりました。

 

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